やっしーの休憩室
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メタリカ Fuel for fire
ホルムズ海峡
(Strait of Hormuz)
2012年、現在、日本の原油の輸入割合は、サウジアラビアが29.2%、UAE(アラブ首長国連邦)が20.9%、カタールが11.6%、イランが9.8%という感じになっているようです。
日本の経済は、いつも、石油に左右されてきました。
アメリカは国際金融社会の取引に、ドルを積極的に使ってもらう為に、金とドルを交換出来る金本位制度を行なって来ました。
ところが、ベトナム戦争の影響により、アメリカの財政赤字が拡大します。
また、社会福祉を充実させるという社会政策の実施により、インフレが進み、輸入超となり、貿易赤字が拡大し、財政赤字と貿易赤字の双子の赤字に見舞われました。
日本は、財政は赤字ですが、貿易は黒字なので、まだ、マシでした。
そうすると、ドルの信用は無くなってしまって、世界的に米ドルを売って、金を買うという動きが表れました。
この為、アメリカのニクソン大統領は、テレビなどの報道を使って、いきなり、金とドルの交換停止を発表しました。
それと同時に為替制度が、固定相場制から、変動相場制に切り換えられ、国際金融の枠組み自体が、大きく変わってしまいました。
これが、「ニクソンショック」です。
日本は、今までは、為替取引が、1ドル=360円で固定されていて、
高度経済成長を遂げていましたが、その後の「スミソニアン合意」によって、1ドル=308円に切り上げられ、どんどん円高になり、現在ではご存知の通り、80円台という事態にまでなっております。
同じ物を売っても、360円貰えるのと、80円では、えらい違いです。
外国に商品を輸出することで、利益を上げている日本にとっては、致命的
な出来事でした。
輸出産業は大ダメージを受け、
企業は、大幅な経費削減を迫られ、その結果、大量のリストラを生み、経済には深刻な影を落としました
。
そして、原油取引はドル建てが基本でしたので、ニクソンショックによって、中東の産油国の通貨も
切り上げられてしまいます。
その結果、石油に対する手取りのお金が減ってしまった産油国の人達は、原油自体の値段を吊り上げるという方法を取りました。
結局、一番、打撃を受けたのは、石油の輸入に頼り、商品の貿易に頼る日本のような国です。
その後、さらに、アメリカの支援を受けたイスラエルと、エジプト、シリアなどの中東地域との第4次中東戦争が始まり、オイルショックが起こります。
この時、OPEC(石油輸出国機構)が、原油の値段を1バレル(約159リットル)を3.01ドルから5.12ドルへと70%も引き上げることを決定し、UAE(アラブ首長国連邦)や、バーレーン、サウジアラビアなどのOAPEC(アラブ石油輸出国機構)は、イスラエルが占領地から撤退するまでは、イスラエルを支持するアメリカには一滴の原油も売らない
と強気の姿勢を見せました。
日本では、インフレが加速し、消費者物価指数も20%以上も上昇して、GDPがマイナス1.2%と、戦後初めてのマイナス成長となり、高度経済成長の歴史は、終わりを告げます。
日本経済は、それでも、地道に頑張って、1980年の終わりから、1990年の初めにバブル景気となります。
そのバブル景気の終わり頃に、イラクがクェートに侵攻して湾岸戦争が勃発します。
イラクはアメリカの上陸を拒む為、400億ガロンもの原油をペルシャ湾に流したと言われます。
アメリカは、アメリカ軍を中心とした多国籍軍に
、日本も参加することを求めて来ましたが、憲法9条の戦争放棄を理由に、お金だけを出すという結果となり、135億ドル(1兆6000億円)を算出しました。
この戦争によって、原油が高騰し、バブルも弾けて、日本経済も低迷し、デフレが続いている状態です。
現在、アメリカとイランが睨みあっています。
日本は、割と、イランとは仲良くやって来て、イラン最大のアザデガン油田の開発は、日本とイランが共同で行なってきたのですが、
2011年アメリカは、イランの核開発
問題をめぐる経済制裁の一環として、イランの収入源である原油輸出を断つためのイラン原油制裁法を成立させました。
原油の取引の決済をするイラン中央銀行と取引をする外国の金融機関は、アメリカ国内で、活動できなくなるという厳しい法案です。
欧州連合(EU)も、
アメリカに同意し、2012年の7月からイラン産原油の全面輸入禁止を決めました。
EUの中のギリシャも、原油の約30%をイランからの輸入に依存していて、禁輸に対する財政破綻が心配されますが、アメリカの決定には逆らえない状況です。
そして、日本も、原油が高騰すれば、結局、日本経済が受ける影響は深刻で、ギリシャとまったく同じ状況なんですが、アメリカには逆らえず、
同意する姿勢を示しました。
追い詰められたイランは、ホムルズ海峡を封鎖するぞとアメリカに脅しをかけています。
原油を運ぶ世界のタンカーの約35%が、ここを通過していて、ここを、封鎖されてしまうと世界経済に与える影響は計り知れません。
日本の石油の80%も、
ここを通ってくるタンカーらしく、日本経済は確実に死にます。
正に一触即発です。
それから、サウジアラビアとカタールも睨み合っています。
もともとサウジアラビアとアメリカは仲が悪くはなく、サウジアラビアの国内に、アメリカ軍を駐留させていましたが、アメリカの9.11同時多発テロの首謀者をかくまっているとして、アフガニスタンに侵攻して、同じイスラム教徒を殺害しているとして、サウジアラビアで世論が巻き起こり、アメリカ軍の国外退去を申し出ました。
そして、サウジアラビアに敵対するカタールが、アメリカ軍を引き受け、現在は睨み合っている状況です。
サウジアラビアに比べて、カタールの国土はとても小さいのですが、アメリカ軍の強力なバックに今後、どうなるか分かりません。
カタールの原油の埋蔵量は、世界第8位と、それほどの量ではありませんが、液化天然ガス(LNG)の埋蔵量がロシア、イランについで、世界第3位の埋蔵量で、特にドーハの北にあるラスファン工場地帯のガス田が、世界一の天然ガスの産出量(年間約8000万トン)だと言われています。
日本の火力発電の燃料は、石油より天然ガスへの依存度が高く、中部電力は、天然ガスの100%を、カタールからの輸入に
依存しています。
ここが戦争になっても、日本の経済は大打撃を受けます。
サウジアラビアはイスラム教の多数派のスンニー派ですが、国内のシーア派の人達を迫害している為に、ペルシャ湾を挟んでお向かいのシーア派の国イラン
とも仲が悪い状態です。
その為、イランは、カタールの立場から、サウジアラビアへの戦争を煽るような発言も見られたり、宗教も絡み、とても
複雑な状況となっています。
ペルシャ湾は、昔は真珠の産地でしたが、日本の真珠産業の影響で衰退し、時代と共に機械を動かす
石油の産出国であるこの地域が再び注目を集め、真珠産業が、石油産業に変わり、様々な利権が絡み合い、日本も、その石油なしではやっていけないという不思議な関係を築いています
。
人間にとっての食料(マナ)が、機械にとっての石油(マナ)へと、変化していきました。
カタール(QATAR)とその周辺国