シュメル神話で、「ドゥムジ」(タンムード)という男神と、「イナンナ」
(イシュタル)という女神がいます。 それぞれ、エジプト神話の「クヌム」という牛のような神様と、「ヘケト」 というカエルの神様に対応しています。 エジプトでは、「クヌム」(ドゥムジ)の姿の壁画が数多くありますが、シュメルでは、「ドゥムジ」(クヌム)は、冥界の王とされ、「イナンナ」(ヘケト)の像ばかりが目立ち、ほとんど「ドゥムジ」(クヌム)の姿が残っていないそうです。 エジプトの町エスナのクヌム神殿の壁画などでは、「ヘケト」に変わって「ネイト」が、奥様になっていたりして、彼女が、外来の神様だったような感じを受けます。 今は、「ヘケト」と「ネイト」は、同じ神様だということになっています。 |
クヌム神(牽牛)
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ネイト神(織姫)
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ライオンの頭を持つネイト神とクヌム神
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七夕の話があります。
日本では、牽牛(けんぎゅう)のことを、彦星(ひこぼし)と言います。 織姫(おりひめ)は天帝の娘で、機織の上手な働き者の娘で、彦星(ひこぼし)も、牛飼いの仕事を熱心にこなす、働き者の若者でした。 やがて二人は、惹かれ合い、そして、結婚します。 天帝も、二人の結婚を認め、めでたく夫婦となりましたが、夫婦生活が楽しくて、織姫は機を織らなくなり、夏彦は牛を追わなくなりました。 この事を怒った天帝は、二人を天の川を隔てて引き離しました。 そして、熱心に働けば、年に1度、7月7日の晩だけ、会うことを許し、カササギが翼を広げて、橋を架けてくれて会うことができたというお話です。 |
大英博物館所蔵「イナンナ」(イシュタル)像
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次に、紀元前2334年~紀元前2279年頃に、アッカドから出た「サルゴン王」の話をしたいと思います。
サルゴン王の母は、子供を産んではいけない女神官だったと言われています。 母は、ひそかにサルゴンを産み、籠に入れてユーフラテス河に流したといわれます。 祝福されない赤子は、アッキという庭師に拾われ、その後、キシュ市のウルザババ王の酒杯官となり、やがて王権を簒奪しました。 シュメル人との分立状態を終わらせ、メソポタミア南部に、アッカド王朝という統一王朝を築きました。 34回の戦闘で勝利を得て、地中海からペルシア湾までの広大な帝国を支配しました。 このサルゴン王の捨て子伝説は、アケメネス朝ペルシアの初代王キュロス2世や、「出エジプト記」のイスラエル人のモーセ、「ローマ建国伝説」の双生児ロムルスとレムスなどにまつわる伝説の最古の例です。 恵比寿さんの捨て子の話とも、よく似ています。 |
新バビロニア王国 国旗
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さて、「ヒッタイト人」に滅ぼされた「古バビロニア王国」ですが、紀元前13世紀にアッシリア帝国が、バビロンを占領し、アッシリアの支配を受けます。
ダビデ王が統一したイスラエル王国も、北のイスラエル王国と、南のユダ王国に分裂し、紀元前722年に、アッシリア帝国により、イスラエル王国は滅亡され、ユダ王国は、アッシリアに服属する形で存続していました。 紀元前609年には、「メギドの戦い」(エジプトとユダ王国の戦い)の敗北によって、エジプトの支配下に入ります。 そして、アッシリアが衰えてくると、アラム系「カルデア人」のナボポラッサルが、バビロンに、「新バビロニア王国」(カルデア王国)を築きます。 新バビロニア、リディア、メディア、エジプトの四大国の時代となります。 |
イラクのバビロン「イシュタル門レプリカ」
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「新バビロニア王国」の2代目王ネブカドネザル2世が建設した、イシュタル門の話に戻りますが、その後、イシュタル門周囲の発掘をもとに、1930年代にはベルリンのペルガモン博物館で、復元が完成し、イラクのバビロンにも、門と、一部モザイクのレプリカが、完成しました。
このイシュタル門のライオンや、牡牛の下に描かれている菊のような花は、「円花模様」や、「ロゼット」と言って、「イシュタル」(シュメル語でイナンナ)のシンボルマークです。 中心から放射状に広がる花弁状の単位を、円形に並べたもので、太陽の光状を象徴したものです。 天皇家が、菊を紋章にしているのも、アマテラスという女神を先祖にしているのも、不思議な縁です。 バビロニアの話は、それぐらいにしておいて、また、七夕の話に戻りますが、「シュメル人」が発明した太陰太陽暦において、1年を、春夏秋冬の4つの季節に分け、それぞれを、さらに6つに分けた、24の期間を表すものに、二十四節気というものがあります。 |
五節句
1月7日 七草の節句 3月3日 桃の節句 5月5日 菖蒲(しょうぶ)の節句 7月7日 七夕 9月9日 菊の節句の五つです。 |
冬至、夏至、春分、秋分などの24の節句です。
そのうち5つを、江戸時代に幕府が公的な行事、祝日として定めました。 この五節句は、「牽牛」と「織姫」の日が交互に来て、七夕で融合するように出来ています。 現代は、1月がお正月になっていますが、旧暦では、立春の後の、3月から始まります。 桃は旧約聖書でイヴが食べたとされる「智恵の実」です。 神様と同じ智恵を手に入れた代わりに、楽園を追い出され、寿命を持ってしまいます。 |